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ポリウレタンの経年劣化。原因は?防止できる?にお答えします。

スニーカー

久しぶりにアウトドアを楽しもうと思ったら、スニーカーのソールが剝がれたり、テントがベタベタして拭いてもベタベタが取れない、水着がべろんべろん。。。といった残念な経験はありませんか?

なぜこんなことになるのか、防止策はあるのか、原因と対策をご紹介します。

原因はポリウレタンの性質にある

スニーカーのソールやテントなどにはポリウレタンという原料が使われています。使われている材質のことを知れば、この現象の理解が深まるでしょう。

ポリウレタンとは

ポリウレタンとは、イソシアネート基と水酸基を有する化合物を重合することによって生成されたウレタン結合をもつ化合物の総称で、加工によって様々な形態をとることが出来、昨今の日常品に広く使われています。

ポリウレタンの加工

ポリウレタンは加工によって様々な形態があります。

糸状に加工して生地に織り込んで伸縮性を持たせたり、発泡素材を加えてスポンジや弾力性のある固形にしてスニーカーのソールなどに使われたりもします。

また、液状に加工することもでき、生地表面に塗って撥水・防水性をもたせたるなど非常に幅広く活用されています。

ポリウレタンが使われているもの

防音材や断熱材などの資材に使われる他、ファッションアイテムにもポリウレタンは使われています。

スニーカーやカジュアルシューズの靴底、スキーブーツなどは、発泡剤をまぜて固形化したポリウレタン加工品です。

ポリウレタンコーティング

テントやレインウェア、ソファーやバックなどの生地表面にポリウレタンコーディングすることで撥水、防水効果を付加しています。

繊維製品

ポリウレタン○%と表示されている洋服や水着、下着には糸状にしたポリウレタンが織り込まれ高いストレッチ性を生んでいます。

ポリウレタンの経年劣化は避けられない

ポリウレタンのメリットは高い収縮性・衝撃吸収性ですが、デメリットは「経年劣化」が避けられないということです。

経年劣化のメカニズム

ポリウレタンは、水分や熱や紫外線などにより分解され、劣化していきます。(このうち水分による分解は加水分解と呼ばれます)。分解による劣化は製造直後から始まりますが、その影響は製造後だいたい2~3年経年後ぐらいから表面化してきます。

このようにポリウレタンの性質と劣化の誘因が、湿気などの水分による加水分解や熱、紫外線によって起きる経年劣化は避けられません。

どのように変化するか

ポリウレタンが経年劣化された状態は、靴のソールの場合、剥がれたりソール自体がボロボロと砕けたり、テントや合成皮革のバックなどの場合、表面のコーティング膜が剥がれたり、溶解しベタベタになって異臭がするようになります。

ポリウレタンの経年劣化の対策は

ポリウレタンの経年劣化はポリウレタンの性質で避けられませんが、お手入れ次第で若干劣化を遅らせることはできます。

普段のお手入れ

靴はしまいっぱなしにせずに、適度にローテーションを組んで履きましょう。履くことでソールに含まれた水分を外に押し出す効果があります。ただし、同時に足汗や蒸れで靴の内側に湿気が溜まるので、履いた後は乾燥材などを入れて休ませることが大事です。

合成皮革など、ポリウレタンコーティングしている生地の表面が汚れたら、水拭きは避けて速乾性のあるアルコールを含んだ除菌シートで拭く方が良いでしょう。ただし、色落ちの可能性もありますので、目立たない部分で色落ちを確認しておきましょう。

また雨などで濡れたら水滴をふき取ってしっかり乾かすことも忘れてはいけません。拭きとる時は、ポリウレタンがダメージを受けないようゴシゴシとこすらないように注意しましょう。

長期保存の場合

テントやレイン用品、靴などの保管のコツは、とにかく湿気と紫外線を避けることです。テントやレインウェアは、使用後にしっかり乾かして直射日光をさけ、乾燥剤を入れて密封保管しましょう。

靴は木製のシューキーパーを入れると防湿と形状を保つことができるのでオススメです。

ポリウレタンが経年劣化をしてしまったら

ベタベタした状態を除去する最終手段として重曹で洗い流すことができますが、これはコーティングを全て洗い流す行為なので生地の風合いが変わってしまい、撥水・防水などの機能もなくなってしまう恐れがあります。

また、撥水機能回復にシリコン系の撥水剤を塗布する方法がありますが、完全に水を防ぐ防水機能はなく、原布によっては使えないなどの相性の問題があります。いずれも生地の風合いや色味などが変わってしまい元に戻らない可能性が高いので注意が必要です。

経年劣化しないポリウレタン以外の伸縮素材「ソロテックス」

特に衣料品では、前出のポリエーテルタイプのポリウレタンや開発が目覚ましいポリウレタン以外にも伸縮素材があります。

例えばメンズアパレルブランドで、コートやジャケット、ニット、パンツ、カットソーなどに幅広く使用されているPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維「ソロテックス」です。

「ソロテックス」は、ポリウレタンよりもはるかに劣化しにくいだけでなく、軽快なストレッチ性、きわだつソフト感、シワになりづらい優れた形態回復性など、長く快適に着用するのに最適な機能素材としてとても注目されています。

1830年にアメリカにて創業され、アウトドアアパレルのアイコンとも言えるアイテムを生み出してきた老舗ブランド、WOOLRICHでも「ソロテックス」が採用されています。

こちらの記事では、「ソロテックス」のワッフル生地を使った FAST TRAIL WAFFLELS TEE と、リネンと「ソロテックス」をミックスした生地を採用したFAST TRAIL LS SHIRTを紹介しています。どちらも、「ソロテックス」の特徴を生かしたWOOLRICHならではのアイテムとなっているので、是非読んでみてください。

まとめ:ポリウレタンの経年劣化は避けられないが遅らせる

残念ながらポリウレタンの経年劣化は避けられませんが、お手入れ次第では劣化を遅らせることができます。

ポイントは、湿気(水分)、紫外線を極力避ける使用、お手入れや保管方法をとることです。
衣類でしたら洗ったらすぐ、日陰で風通しの良い場所で干すこと、プール水等に含まれる塩素にも弱いので、水着であればしっかりすすぎましょう。

雑貨では、濡れたら水滴をやさしく拭きとりしっかり乾燥させることなど、ポリウレタンの特性を理解した日常のお手入れにより劣化を遅らせることが可能です。

また、快適性、お手入れの手間、トータルの着用年数アップのための一つの方法として、「ソロテックス」などの機能素材が使われているアイテムをワードローブに加えてみるのもいいかもしれません。

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